Jun27th

異彩の街 ボトルガード伝承

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異彩の街 ボトルガード歴史・伝承

風の時代の遺跡

とある王と赤目の賢者

 あるとき、一人の若い冒険者がボトルガードの遺跡を訪れた。この当時のボトルガードはまだ遺跡周辺の小さな集落で、あるのは畑と遺跡の石壁程度だった。
 冒険者は一人、遺跡に挑んだのだが、途中で怪我を負い身動きできないでいた。
 そこに一人の女性が通りかかった。女性は冒険者に「少しでも生きたいのならその華の汁を飲むといい」と告げると去っていった。
 華はどす黒く酷い匂いがした。
 冒険者は遺跡の中にいる女性を訝しんだが、このままでは身動きが取れないと思い。仕方なく女性の言うとおりにした、するとたちまち傷が癒えたのだった。
 冒険者は女性を追いかけ礼を言うと、女性は「あれは普通の人間には猛毒であり、治癒の効果を受けられるのは万に一つでしかなかった」と驚いた。
 冒険者は女性の物言いに腹を立てるでもなく大笑いし、「それでも自分の命を救ってくれたのはあなたである」と言い感謝した。
 この後も冒険者は何度と無く女性の元を訪れ助言を求めたが、女性の与える解決策はいつも大きなリスクの伴うものばかりであった。しかし、冒険者はすべてのリスクを跳ね返し成功を収めた。その後、王となった冒険者は、この女性をその瞳の色から赤目の賢者と呼び地位と領地を与えた。
 女性はその時、「この地はすでに私のものであるから改めて貰う物では無い」と言い王をおおいに笑わせたと言う。

盾の英雄と氷銀の乙女

 既に語られることも無くなった英雄たちの話。
 パリス王国時代初期、ボトルガードにも人が集まり小さな街となった。
 そんな時、この地に眠る遺跡を狙い魔王アスモデウス率いる魔族と妖魔の群れが現れた。成す術も無く蹂躙されていた人々は、旅の聖騎士とユニコーンの背に乗った少女によって守られた。
 旅の聖騎士は三日三晩にわたる魔族の軍勢をその身一つで防ぎきり、ユニコーンに乗った少女は一振りで河をも凍らせる魔剣で魔族たちを退けた。その自己犠牲とも言える献身さに胸を打たれた住民たちは、聖騎士を盾の英雄、一面を銀色に塗り替え戦ったユニコーンに乗った少女を氷銀の乙女と呼び感謝の念をこめ石造を建造した。
 しかし、500年以上たちその伝承は当時を知る長命種たちの間で語られる程度となってしまった。現在は領主の庭園内に二人の石造がひっそりと建っている。
 そう、盾の英雄はダナン神官であったことから、ボトルガードでは長命種のダナン信者は多いピコよ。

雷撃の猛将と風麗の姫

 パリス王国時代後期、ボトルガードは現在のような城塞都市へと増築されていった。パリス王国とエルーラン王国の戦乱が激化する中、ボトルガードに一人の将軍が着任した。猛将とされるドルフ・アドソンである。
 ドルフは武芸に秀で、勇猛果敢なドゥアンのセラトスであり、パリス王との一騎打ちで王の剣を折った褒章で一竿の槍を与えられた。それこそ雷神グランアインの槍である。
 ドルフは熱心なグランアイン信者でもあったため、ボトルガードの自警騎士団の団長はグランアイン大神官が兼任することが多い。街では4年に1度、アドソン武闘大会が開かれその大会上位者は騎士団内での地位などが約束される。
 ドルフは愛妻家とも知られ、妻として領主の養女であったエルダナーンのリアーナを迎えている。リアーナは物静かな淑女であり、良き妻として知られている。また、精霊魔術師としての腕前も確かで、特に風の魔術を扱っていたことから風麗の姫と呼ばれている。

東方の技術師と水竜の愛娘

 600年頃パリス王国が崩壊し、再びエルーランが力を増すと、近隣の都市が占領され、ボトルガードは自給自足を余儀なくされた。そのため、独自の生産技術で約百年もの間、外界との交流を絶って生活することとなった。
 この時、東方から移民してきた技術者たちが、多いにその力を発揮した。手先が器用で独特な発想を持つ東方人たちは、今までの農業や工業に錬金術や魔術を取り入れ、発展させていった。この間に、ボトルガードは東方文化と西方文化を混ぜたような独特の文化を発展させていく。
 時代の針が進み、聖暦700年頃エルーラン王国の王政が力を失い、小国王が各地で立つようになった頃、近隣の小国家がボトルガードへ大規模な侵攻を行ってきた。
 街の総戦力の遙か10倍を超える軍勢に、街は陥落寸前にまで追い詰められる。
 その時、一人の少女が水の竜に嘆願し、川の流れを変えて敵軍の陣営を押し流した。人々は、その少女を水竜の愛娘と呼んだ。
 ボトルガードの地下には、今も水を司る古代竜が眠っていると信じられている。

太陽の剣

 聖歴900年ごろ魔族の大侵攻が始まる頃、ボトルガードは人々の交易都市として発展していた。
 ランディ運河とラヴァーン運河を利用して、パリス地方とラクレールや無限の砂漠との交易が盛んに行われたのだ。
 その頃、魔族たちの一部は、戦線への補給経路となっているボトルガードを落そうと侵攻してきた。
 他国との戦争で軍備を整えていたボトルガードはこれに抵抗いていたのだが、強力な上位魔族”黒き太陽”たちの登場で一気に形勢は傾いた。
 ”黒き太陽”とその配下は倒せども倒せども復活するため、徐々に人々の戦意は落ちていった。
 その戦意を再び甦らせたのが、アーケンラーヴ神官の少女ペテュニア・スメッドリィであった。ペテュニアは、領主から神具”太陽の剣”を与えられ、上位魔族”黒き太陽”を倒すことに成功した。

 

鋼鉄の騎士

 999年。神聖ヴァンスター帝国による侵略を受けた際、鎧甲冑に身を包んだ騎士ウィリアム・アイアンが現れその軍勢を退けた。騎士は完全に顔を隠し正体を明かさなかったが、彼はナイツ オブ フーリッシュの一人であると領主から告げられた。
 騎士の正体を知るものは街でも限られた者のみである。そのため、時折ウィリアムの名を騙る者が現れるが、誰も成功したためしは無い。
 この後、ボトルガードはパリス同盟に参加することとなる。

そして聖暦1009年 物語は始まる。